(余談)
私が小さかった頃、どこの家でも十五夜を行っていました。近くの野山に、子どもたちがススキや吾亦紅などの秋の野草を採りに行っている間に、親たちはお供え物の準備をしていました。月が昇るのを待って、子どもたちは先っぽに釘を打った竿竹を持ちながら、各家々をそーっと覗いては、家の人に見つからないようにお供え物を釘に刺して盗む(頂戴する)のです。1年に1度の盗みの解禁日。わくわくどきどきの子どもたち、その様子を盗み見しては楽しんでいた近所の大人の方の優しいまなざしを、今でも鮮明に覚えています。